どうも、さんすくみ(@sansukumi4)です。
ベストセラー(ドイツで25万部、日本でも17万部)ビジネス書である『Think clearly』。よりよい人生を送るための思考法が書かれた本です。
本書を読んでみた感想は…
『Think clearly』が気になった方はぜひお手にとってみてくださいね。
目次
新しいこそ正義と思いがち
VUCA時代。先の見通しが立たないため、変化を受け入れ、新しいものを取り入れて順応していこう。
こんなことがよく言われています。
世の中が複雑化していることは間違いないでしょうし、変化に対応しなければ生き抜けないというのも納得いきます。
新しいものにチャレンジする機会も増えるでしょう。
「新しいを受け入れること」自体が目的かのように語られているシーンに多く出くわすので、よく違和感を覚えています…。
手段をモノにすることと、実行する手段に選ぶことは別に考えるべきではないでしょうか。
反生産性の観点を忘れない
『Think clearly』では反生産性という概念が紹介されています。
「反生産性」とはつまり、「テクノロジーの多くは、一見それによって時間とお金を節約できているように見えても、実際にかかったコストを計算してみたとたんに、その節約分など消えてしまう」という事実を表している。
引用:『Think clearly』ロルフ・ドベリ【著】
実際の例として自動車の平均速度のお話があります。
自動車は移動効率を高めるための乗り物です(ここでは生産性に注目するので、運転する喜びなど、満足感や幸福感については考えません)。
みなさんは自動車を交通手段に選ぶことで、どれだけ移動効率(平均移動速度)を上げられると思いますか?

反生産性の概念を生み出したイヴァン・イリイチ氏によれば、答えは6km/h。なんと徒歩と同じです。
ここでいう平均速度は、
- 車の購入費
- 車の保険料
- 車の維持費
- ガソリン代
- 交通違反の罰金
これらを稼ぐための労働時間と、渋滞時間を実際の走行時間に加えることで計算されています。
本当の意味で自動車の恩恵を享受するならば、購入費を抑えたり(中古車を買う)、買わずに借りる(レンタカー、タクシー)ことが賢明だとわかります。
現代を生きる我々にとって自動車は「新しいもの」ではありませんが、自動車が普及した当時の人々にとっては最新のものであったわけですよね。
生産性向上を求め移動手段として真っ先にマイカー(新しいもの)を選んでいたのなら、それは正しい選択とは言えなさそうです。
※ 同じく反生産性の観点からパワポを排除した記事はこちら
「新規」も「既存」も戦略のひとつに過ぎない
ツールでも、手法でも、新たに出てきたものには世の中をより良くする可能性が秘められています。なので、

みたいな江戸っ子にはなってはいけません。
かといって、

というのも違うでしょう。
伝統的な既存のものも、可能性を秘める新しいものも、いち手段でしかありません。
自分の戦略、打ち手の数を増やすために新しいものを吸収する意義はありますが、「今必要なもの」は何なのか、冷静に判断していきたいですね。